Fig.1 GUIボタン付き動画処理システムのサンプルプログラム

Webカメラが継続的に撮影するモニター動画像をリアルタイムでGUI処理する場合、異なる処理をどう切り替えるかが問題となる。静止画像処理では、処理毎に対応する関数を定義し、関数内で処理済み画像をLabel widgetに貼り付け、Label.pack()で表示を更新すれば切り替えは完了し、問題は生じない。即ち、異なる処理の切り替えは異なる関数と紐付けされたボタンwidgetの選択で解決できた。しかし、動画像ではweb映像の切り替えは関数の選択だけではうまく行かない。動画では映像の表示が連続的に続いており、これを一旦停止せずに次の処理に移るとエラーとなって停止してしまう。異なる動画処理を実行するには、まず瞬間映像の表示を一旦ストップし、Label widgetに対し、winfo_children()を使用してそのwidgetに紐づけられたwidgetリストをクリアする必要がある。その後、異なる処理関数を選択してLabel widgetリストを再定義することで異なる動画像処理がうまく実行可能となる。

下記のサンプル・プログラムは6個の異なるGUI処理メニューを持つWeb動画像システムを実現している。即ち、

1) def show_gray(): Webカメラが撮るモニター映像と白黒濃淡映像の表示、

2) def show_face(): Webカメラが撮るモニター映像と顔と目の検出映像の表示、

3) def edge_canny(): Webカメラが撮るモニター映像とCanny法によるエッジ映像の表示、

4) def switch(): global 変数showの値を0と1に切り替える。

5) def destroy_child(): showの値を調べ、showの値が1の時、ラベルlaとlbに紐付けされたwidgetリストを破棄する。

6) def finish(): メッセージボックスによるプログラムの終了を確認した後、プログラムの終了とweb映像撮影を終了。

上記を例に用いて、動画における異なる処理の切り替えを実現する仕組みを説明する。

まず、全体の定義文において、行24においてglobal変数showの値を1に設定する。

そして、show_gray()関数の末尾に、行76から行81のif文を追加する。もし、global変数showの値が1なら、lframe.pack()によりlframe の子widgetである laにWebが撮影する瞬間画像を、別の子widgetである lbにその処理画像をそれぞれ表示させ、10ミリ秒毎にshow_gray関数を呼びだす処理を繰り返す。もし、showの値が0なら、この繰り返し処理をストップして、showの値を1に設定し、la 及びlb widgetに紐付けされたwidgetリストを破棄するdestroy_child()関数を呼ぶ。

同様な処理を別の処理関数でも行うために、show_face()関数の末尾に、行122から行127のif文を追加し、

また、edge_canny()関数の末尾にも行152から行158のif文を追加する必要がある。

現在選択している処理関数から別の処理関数へ移る場合は、その前にswitch()関数を一度クリックしてshowの値を0にする必要がある。switch()関数はクリックによって呼び出される度にshowの値を0から1に、又は1から0に反転させる。

destroy_child()関数では右側に配置されるlframeの子 widgetであるlaと、左側に配置される子widgetであるlbに紐付けされたwidgetリストを破棄する。

switch()関数とdestroy_child()関数は以下の様に定義すれば良い。